遺言と遺言書

遺言書の種類

「遺言書」といっても、ただ書けばいいという訳ではありません。
遺言書の内容が正しく実行されるためには、法律で定められた条件を満たしている必要があります。

種類 内容・様式
自筆証書遺言 遺言者が、遺言の全文・日付・氏名を自書し、捺印した遺言
公正証書遺言 遺言者の指示により公証人が筆記した遺言書に、遺言者、公証人および2人以上の証人が、内容を承認の上署名・捺印した遺言
秘密証書遺言 遺言者が遺言書に署名・捺印の上封印し、封紙に公証人および2人以上の証人が署名・捺印等をした遺言

 

遺言を実行する人「遺言執行者」

遺言は、自分が死亡した後に自らの思いを実行してもらうために残すものです。
しかしその意志の通り実行されたかを自ら確認する術はありません。
そこで遺言の制度では、責任をもって遺言を実行する人=「遺言執行者」を遺言書の中で指定する事ができます。

遺言を巡っては、相続人間で様々な思惑が交錯し遺言の内容通りに実行されない恐れもあります。
遺言執行者は、遺言の内容を実行するために必要なことができ、また相続人が遺言の内容を妨げるような事が出来ないように法律が定めています。

遺言執行者は、あくまで遺言の内容がスムーズに実行されるために指定された第三者的な存在です。
したがって遺言内容が問題なく実行されるようならば、必ずしも遺言執行者を指定する必要はありません。
また遺言の中で遺言執行者が指定されていない場合は、後から家庭裁判所で相続人と利害関係のない遺言執行者を指定してもらうこともできます。

 

遺言書は勝手に開けてはいけない

自宅で保管されていた遺言書を見つけた場合、相続人はどおすればよういのでしょうか。
「自筆証書遺言」の場合、家族が保管しているか家のどこかに保管されているのが一般的です。
「自分だけが不利な内容になっているのでは・・・」と内容が気になるかもしれませんが、決して封を開けてはいけません。
勢い開封してしまうと遺言書そのものの効力が無くなってしまいます。

遺言書を見つけた場合は、開封せずにそのままの状態で家庭裁判所へ持ち込む必要があります。
そこで「検認」の手続きをしてもらいます。
家庭裁判所で初めて開封することで、遺言書が差し替えられていないことや改ざんされていない正規のものであることの証明となります。

なお検認の手続きは、あくまで自宅や家族が保管していた「自筆証書遺言」だけの制度であって、「公正証書遺言」についてはこの手続きは不要です。
公正証書遺言は、作成時に公証人が関わっておりその原本は公証役場に保管されているため差し替えや改ざんの可能性が極めて低いからです。

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